トルコの経常赤字が予想より悪化!

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激しいインフレがトルコでは続いていますが、新しく発表された経済指標で、トルコの経常赤字が予想よりも上回ったことが判明しました。トルコの状況とともに分かりやすく解説していきます。

ソース元
Turkey Swings to Wider Current-Account Deficit Than Forecast

https://finance.yahoo.com/news/turkey-current-account-swings-wider-071504214.html

トルコの7月の経常収支が-55億ドルに

2023年9月11日に発表されたトルコの7月の経常収支が-55億ドルとなり、市場の予想値の-45億ドルを大幅に下回りました。

6月の経常収支が6.7億ドルの黒字、前年の7月が-35億ドルであったことを踏まえても想定以上の赤字となりました。(指標発表後に為替はあまり動きませんでしたが、発表日はトルコリラドルは0.16%の下落を記録しました。)

貿易赤字の悪化の原因として金の輸入が急増したことが挙げられます。

トルコが金を輸入する理由

トルコが金を輸入する理由は主に2つあります。

1つ目は、宝飾品としての需要です。トルコは宝飾品がとても有名であり、金を材料とした宝飾品が売られています。

もう1つは貯蓄としての需要です。トルコの通貨であるトルコリラは年々通貨価値が下落しており、保有しても資産として安全と呼べる状態ではなくなってしまいました。

そこでトルコリラの代わりに金を代替の安定的な資産として貯蓄する人が増えていったのです。

今回の金輸入の増加は、2つ目の理由が原因だと考えられます。

政府の方針

トルコの財務大臣であるメフメト・シムシェク氏は、トルコの全国放送チャンネルであるNTVで、次のように述べました。

「必要であれば、量的引き締めに向かう」と彼はNTVで語った。「経常収支の赤字をコントロールする必要がある」

同様に、トルコのエルドアン大統領も高インフレを抑制するために金融引きしめを利用すると述べました。これはこれまでの大統領のスタンスとは全く異なります。

これまで大統領は、ひたすら利下げを進める政策をしてきました。物価の安定を犠牲にし、下図のような連鎖を目標としていました。

(引用:トルコ 通貨リラ下落で何が起きているのか|NHK国際ニュースナビ

政策の結果、実際に海外の観光客などは増えはしましたが、それよりも尋常でないインフレにより国民は苦しむこととなりました。

今回の大統領のコメントは、以前の政策とはきっぱり決別する姿勢を示しています。

6月の賃上げが原因となった可能性も

トルコ政府はインフレに応じ、6月に労働の最低賃金を34%引き上げる決定をしました。実はこれは2023年に入ってから2度目の引き上げで、1度目は1月に55%の引き上げが行われました。ゴールドマンサックス・グループは報告書にて、6月の賃金引上げがトルコの輸入を増加させたと述べています。

ドルや円との関係

ここでトルコリラの為替相場を見てみましょう。以下、1枚目がトルコリラドル、2枚目がトルコリラ円です(2023年9月12日時点)。

どちらも一方的な下落トレンドが続いています。トルコリラの価値がどんどん下がっていき、インフレが加速している様子がうかがえます。

すいすい
すいすい

国民が金を代替資産として求めたくなるのもうなずけます。

トルコリラドル、トルコリラ円のリアルタイムチャート

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